高齢者の需要高まる「電動カート」介護保険サービスでレンタルできる新機種が続々!
免許を返納する人も増えた今、高齢者が病院や買い物にいく普段の“足”として、徐々に広まっている「電動カート」。介護保険サービスでレンタル可能な電動カートが増える中、新たに登場したのが、全国に福祉用具貸与事業を展開するスペースケアが手がける電動カートだ。気になる注目ポイントを紹介する。
「電動カート」が高齢者の新たな移動手段に
高齢者による自動車事故のニュースも増え、運転に不安を覚え運転免許を返上している人が増加している。後期高齢者(75才以上)で運転免許の申請取消(自主返納)をした人の数は、平成24年で6万5147人だったが、令和3年では27万8785人と10年間で4倍以上に増加している※。
※「運転免許の申請取消(自主返納)件数と運転経歴証明書交付件数の推移」(警察庁)
https://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/return_DL.html
毎日の買い物や通院などで自動車を利用していた高齢者が、免許返納により移動手段がなくなり、外出困難になってしまうことも。そこで、活用されているのが電動カートだ。
免許がなくても運転することができ、一般的に時速6km以下で歩道を走ることができるものが多いが、安全性なども気になるところ。
また、新たにさまざまな企業が参入し始めており、介護保険サービスでレンタルできるものも増えてきている。
月額2000円でレンタル、試乗もできる
全国に16営業所で福祉用具貸与事業を展開するスペースケアは、高齢者の安全をより考慮した電動カート「SpaceCare」2車種の販売とレンタルを11月25日から開始した。正しい運転方法の指導も行い、安全対策にも気を配っているという。
「事業所によっては試乗することもできますので、まずはスタッフの指導のもと、乗ってみてご自身が乗りこなせそうかをお試しいただけたらと思います。
介護保険レンタルサービスも利用できるので、1割負担の方で月2000円とリーズナブルに使っていただけます」(スペースケア広報、以下同)
電動カートは介護保険を利用してレンタルする人が多いというが、介護認定を受けていない人でも、自動車の代わりとして購入する人もいるという。
業界最大級のタイヤでより安定感を
これまでは他車メーカーの電動カートをレンタル・販売してきた同社だが、このたび、より安定性を目指したオリジナルの電動カートを開発。ゆったりとしたボディサイズの『SpaceCare-45』と、コンパクトで小回りが利く『SpaceCare-43N』の2車種を発売した。
2車種とも座面が回転するので乗り降りしやすく、充電コードが巻き取り式なので邪魔にならない。
1.『SpaceCare-45』TAIS:01496-000024
ゆったりとしたボディサイズで安定感がある。完全ループ形状ハンドルなので、操作が簡単。フロントのバスケット(かご)は、買い物した荷物をたくさん積める業界最大容量(20L)。
タイヤ
『SpaceCare-45』
販売価格:41万8千円(非課税)
レンタル価格:2万円(月額)※介護保険ご利用時2,000円(1割負担の場合)
サイズ:全長1,190×全幅665×全高1,070(mm)
本体重量:111kg
最高速度:6km/h(前進)、2km/h(後進)
登坂角度:10度
連続走行:29km
充電:本体内蔵マイコン制御方式 ・ 家庭用AC100V使用、(新品バッテリー100%放電時9時間で充電)
最小回転半径:1,500mm
2. 『SpaceCare-43N』TAIS:01496-000023
コンパクトサイズの電動カートなので、小回りが利いて狭い道などでも走ることができる。エレベーターへの乗り入れも可能(エレベーターの寸法による)。手軽さ、省スペースにこだわったモデルながら、安定感も保たれている。アクセルガードつきバーハンドルなので誤作動を防止できる。
『SpaceCare-43N』
販売価格:32万3千円(非課税)
レンタル価格:1万9千円(月額)※介護保険ご利用時1,900円(1割負担の場合)
サイズ:全長1,110×全幅635×全高1,025(mm)
本体重量:69kg
最高速度:6km/h(前進)、2km/h(後進)
登坂角度:10度
連続走行:25km
充 電:本体内蔵マイコン制御方式・家庭用AC100V使用 急速充電器内蔵(新品バッテリー100%放電時6時間で充電)
最小回転半径:1,250mm
電動カートで安全におでかけを
電動カートは文字通り、電気で動く乗り物なので利用時には充電しておくことが必要となる。家庭用の100ボルトで対応可能だ。充電時間は約6~9時間なので、就寝前に充電しておけば寝ている間に100%の充電ができる。
操作はいたって簡単なので、自動車を運転した経験がない高齢者でも操作できるという。ただし、必ず正しい操作方法・安全性を理解してから利用することが大切。試乗ができるので試してみるのもいいだろう。
同社には「電動カート」だけではなく、介護用品・福祉用具などについてもトータルで相談できる。
「自動車メーカーさんも電動カートを販売していますが、当社は福祉用具のレンタル・販売をしている関係で、介護のことや介護保険利用についても高齢者様に寄り添ったアドバイスをさせていただいています。
コロナ禍が落ち着いたら、電動カートを上手に利用してお出かけしてみてはいかがでしょうか」
【データ】
レンタル・販売元:株式会社スペースケア
https://www.spacecare.co.jp/
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高齢者が電動カートを安全に利用するために、各メーカーや自治体などが安全講習会などを開催している。正しい利用法を知って活用することが、安心して使えることにつながるだろう。
取材・文/本上夕貴