ドリフ久しぶりのコントが大反響 高木ブーは「カミナリの2人と雷様をまたやりたい」
「ブー子がケーキに突っ伏す場面は、白い生クリームがもっと顔につくとよかったな」――。9月26日に放送された『ドリフに大挑戦スペシャル』(フジテレビ系)で、おさげ髪のブー子や雷様に扮した高木ブーさん。ドリフのメンバーと久しぶりに新作コントに挑んだ気持ちと、画面には映らなかった収録秘話を語ってもらった。(聞き手・石原壮一郎)
ブー子のメイクで「もっと頬を赤くして」って頼んだ
やっぱりコントは最高だね。9月26日の夜に放送した『ドリフに大挑戦スペシャル』では、加藤(茶)や仲本(工事)といっしょに新作コントをやりました。楽しかったなあ。放送後も、たくさんの人から「大笑いしました」「またやってください」って言われて、『8時だョ!全員集合』や『ドリフ大爆笑』をやってた頃を思い出した。
番組は3時間にわたって、ドリフが昔やったコントを流したり、今の若い芸人たちが同じ設定でコントをやったり、ジャニーズの子たちがヒゲダンスをやったりと盛りだくさんで、幅広く楽しんでもらえたんじゃないかな。自宅で家族といっしょに見たんだけど、自分で大笑いしてたし、元気な長さん(いかりや長介)や志村(けん)にも会えて懐かしかった。
新作コントはふたつやったんだけど、ひとつは「お父さんの定年退職」で、もうひとつは雷様シリーズ。「お父さん」のほうは加藤がお父さん役で、仲本はお母さん、お笑いコンビのカミナリのふたりと、ブー子役の僕が子どもたち。ブー子になったのは何年ぶりかな。高校生の孫のコタロウは、ブー子になった僕を初めて見てビックリしてた。
ひと通りメイクが終わって、メイクさんに「これでどうでしょう」と聞かれたときに、「もうちょっと頬の赤いチークが濃いほうがいいかな」って頼んだんだよね。そのほうがブー子らしいと思って。メイクに関して注文つけたのは、もしかしたら初めてかもしれない。
コントではセリフはほとんどなくて、みんなが話しているあいだもご飯を食べ続けている。食卓の上には焼き鮭とかゆで卵とか、おいしそうなおかずが並んでたんだけど、茶碗に山盛りのご飯をパクパク食べているほうが絵になるじゃない。せっかくのおかずをほとんど食べられなかったことが、撮影のいちばんの心残りかな。
コントの最後では、大きなケーキの上に顔から突っ込んだ。88歳でケーキに突っ込んだのは、たぶん世界最高齢記録なんじゃないの。娘のかおるに聞いたけど、ネットでは僕がブー子になったことやケーキに突っ込んだことについて、たくさんの人が喜んでくれてたみたい。やった甲斐がありました。
ただ、顔についた生クリームが少めだったのはちょっと残念だったな。温度とかクリームの固さとか、微妙な具合だから仕方ないんだけど。ひとつ秘密をバラすと、あのクリームはぜんぜんおいしくないんだよね。砂糖が多いと突っ込んだときに顔に当たる衝撃が強くなって痛い。テレビのバラエティ番組の美術さんたちに伝えられてるノウハウらしいよ。
「お父さん」のコントの中では、焦った場面があった。加藤が障子に突っ込んだときに、思ったよりも丈夫ですんなり破れなかったの。加藤はとっさにアドリブで対応して、うまく笑いに変えてたけどね。ブー子の僕は、背中で聞きながら「さすが加藤だな」って感心してた。役を半分忘れて、思わず拍手しちゃったもんね。
23年ぶりの雷様新作コント
雷様の新作コントは、23年ぶりだったらしい。仲本が「ひまだねえ。いかりやさんが死んじゃったらすることなくなっちゃったね」って言って、僕が「お前はいいよな。長さんにかわいがられてたから。俺なんて年じゅう、小言ばっかり」とボヤく。補欠の雷様の入社試験を受けるカミナリのふたりも、名は体を表すっていうか、雷様の姿がサマになってた。またあの4人で雷様コントをやりたいな。
コントの中で仲本と、ドリフの昔からの持ち歌の『こげよマイケル』を歌った。仲本がギターで、僕はウクレレを弾いて。この曲にしようって言ったのは仲本。あいつはそんなつもりはぜんぜんなかったらしいんだけど、ドリフのレコードでは荒井(注)さんが歌ってた曲なんだよね。「全員集合」の合唱隊のコーナーでも、歌の中の「ハレルーヤ」のところを「ハゲルーヤ」に変えて歌ったりしてた。
きっと荒井さんが「おい、俺も混ぜろ」って思ったんじゃないかな。コントでもカミナリのふたりが「イカリーヤ」って長さんを呼び捨てで歌って、僕と仲本に怒られてた。黒い雷様の長さんはいなかったけど、いっしょにやってるみたいだったな。
長さんも志村も荒井さんも、僕たちがコントをやっている様子や、若い人たちがドリフのコントに挑戦してくれているのを見てたと思う。僕も加藤も仲本も、コントをやる楽しさをまた思い出しちゃった。第2弾、第3弾もやれるといいな。長さんの厳しいダメ出しが聞けないのは、ちょっと寂しいけどね。いや、やっぱり聞かなくてもいいや。
ブーさんからのひと言
「久しぶりの新作コント、自分でも番組を見て大笑いしちゃった。元気な長さんや志村にも会えたし、荒井さんもいっしょにやってるみたいだった。楽しかったです」
高木ブー(たかぎ・ぶー)
1933年東京生まれ。中央大学経済学部卒。いくつかのバンドを経て、1964年にザ・ドリフターズに加入。超人気テレビ番組『8時だョ!全員集合』などで、国民的な人気者となる。1990年代後半以降はウクレレ奏者として活躍し、日本にウクレレブーム、ハワイアンブームをもたらした。CD『Hawaiian Christmas』『LET IT BOO』『Life is Boo-tiful ~高木ブーベストコレクション』など多数。著書に『第5の男 どこにでもいる僕』(朝日新聞社)など。YouTube「【Aloha】高木ブー家を覗いてみよう」(イザワオフィス公式チャンネル内)も大好評。6月に初めての画集『高木ブー画集 ドリフターズとともに』(ワニ・プラス)を上梓。毎月1回土曜日20時からニコニコ生放送で、ドリフの3人とももクロらが共演する『もリフのじかんチャンネル ~ももいろクローバーZ×ザ・ドリフターズ~』が放送中。11月18日には日本武道館で『ドリフ&ももクロ ライブフェス』の開催が決定!
取材・文/石原壮一郎(いしはら・そういちろう)
1963年三重県生まれ。コラムニスト。「大人養成講座」「大人力検定」など著書多数。最新刊「【超実用】好感度UPの言い方・伝え方」が好評発売中。この連載ではブーさんの言葉を通じて、高齢者が幸せに暮らすためのヒントを探求している。