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健康

その不調、未病のうちに…頼りにしたい漢方の力|漢方薬局お試しルポ

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「若さや健康を保つには、病気になる手前、“未病”のうちに対処することが大切」と語る漢方の専門家・陳志清さんに、いつまでも元気でいるための秘訣を聞きました。不調に悩む記者による漢方薬局のお試しルポもお伝えします。

なんとなく不調は速めの対処が肝心

「未病とは、病気にはなっていないけれど体にすでにアンバランスのサインが出ていて、なんとなく体調がすぐれない状態のことです。

 未病のうちに生活習慣や食生活を改善し、早めに対処することを“未病先防(みびょうせんぼう)”と呼びます。

 よく眠れない、疲れが取れないなど、加齢とともに感じる“なんとなく不調”は、放置すると病気につながることもあります。病気にならないために、体のバランスを戻すことが大事なのです」(陳さん・以下同)

 中医学(中国の伝統医学、いわゆる中国漢方)では、体のバランスが崩れたときに不調が現れると考えられている。体調をチェックするには、生活習慣や声の張り、脈拍、舌の状態など、さまざまな方法がある。

体調をチェックする方法の例

中医学のチェック方法

1.舌の状態や顔色、肌の状態など

2.声や咳の音、体臭や口臭など臭いの変化

3.脈や体温などを測る

4.起床や睡眠の時間、飲酒の有無などの生活習慣や、自覚症状を振り返る

血の巡りが悪くなる瘀血は「活血」で改善

「元気の源となる“気”、全身をめぐり栄養を与える“血(けつ)”、体液やうるおいなど“水(すい)”、この3つが健康を支える土台になっています。この3つのバランスが崩れると未病から病気へと進行します。

 たとえば、血の巡りが悪くなる“瘀血(おけつ)”は、頭痛やめまい、肩こりなどの原因になります。瘀血には、血の巡りを促して、血液や血管の質を高めることが大事。瘀血を改善することを“活血(かっけつ)”と呼びます」

健康には五臓のバランスが大事

 健康を支える「気・血・水」の生成や循環など、体の働きを司るのが五臓だ。

 五臓とは、肝(かん)、心(しん)、脾(ひ)、肺(はい)、腎(じん)のこと。中医学では、体を巡る気や血、水の生成や代謝を司る“五臓”が互いに作用し、健康を保つと考えられている。

五臓の働き

五臓

(かん)…気血の流れや自律神経、感情を司る。

(しん)…血を送り出す作用や精神活動を司る。

(ひ)…消化吸収機能、栄養素や水分の運搬を司る。

(はい)…呼吸機能や皮膚、粘膜などの調節をする。

(じん)…成長や生殖機能、水分代謝などを調節する。

 外側の赤い矢印は、「相生(そうせい)」関係といって、互いに助け合う関係。また、内側の青い矢印を、「相克(そうこく)」関係といい、互いに抑制し合う関係。ひとつでもバランスが崩れると、不調になるわけだ。

老化に関わる腎の衰えには「補腎」が必要

「五臓の中でも、とくに老化に深く関係するのが“腎”です。腎は元気を出す原動力で、体のバランスを整えるのに重要。腎が弱ったり衰えたりすることを“腎虚(じんきょ)”と呼びます。

 腎虚を改善するには、加齢に伴い衰える腎の働きを補う“補腎(ほじん)”が必要になります」

 ちょっとした不調を放置せず、まずは「活血」と「補腎」で未病先防を。

「生活習慣や食事、運動、自分に合った漢方薬などで早めに対処し、体のバランスを整えることが養生、つまりセルフメディケーションなのです」

漢方についてもっと知りたい人のためのリンクボタン

いますぐ実践したい養生法|食事と生活習慣

「活血(かっけつ)」と「補腎(ほじん)」に大切な食生活やおすすめのツボ押しなど生活の中でできる養生法とは?

活血:血を補い、巡りをよくして健康に

 血液や血管の質を高める”活血(かっけつ)”。血を補い、巡りをよくするためには?

「さまざまな不調をもたらす瘀血を防ぐには、質のよい血を増やし、流れを良くすることの両方が大事になってきます。

 水分が不足しがちな夏は血液をサラサラにする食材を、寒さで血管が収縮する冬は体を温める食材で血行をよくするなど、季節によって養生方法を見直すのもポイントです」

■血を「巡らせる」食材は?

たまねぎやにんにく

 血の巡りをよくする

・にんにく
・しょうが
・玉ねぎなど

 の香味野菜がぴったり。血を増やし、巡らせる食材をバランスよく摂ろう。

■血を「増やす」食材は?

トマトやクコ

 血を「巡らせる」食材だけでなく、「増やす」食材も積極的に摂ろう。健康な血管を作り、質のよい血を増やすには、

・ナツメ
・クコの実
・トマトなど

 の赤い食材がおすすめ。

■活血につながる生活習慣は?

 ストレスや不規則な生活も瘀血の原因に。手軽に血の巡りを良くするには、指先をつまんで揉んだり、グーパーを繰り返す簡単な動きがおすすめ。

補腎:弱った腎の働きを補って老化に克つ!

 元気と若々しさの原動力となる腎。弱った腎の働きを補う”補腎(ほじん)”により老化に克つには?

「中医学ではすべての物事に“陰”と“陽”があると考えられていて、陰と陽の調和が大事です。老化に影響する腎の働きが弱り、陰が不足していると、うるおい不足で肌トラブルやイライラも。

 また、陽が不足していると、冷えや体力の低下、むくみの症状もみられます」

■腎の“陽”不足を補う食材は?

にらとえび

 疲労感、腰痛、冷えなどの症状を感じやすい陽不足には、

・にらなどの香りの強い野菜
・えびなどの魚介類
・ラム肉など

 の体を温める作用のある食材がおすすめ。

■腎の“陰”不足を補う食材は?

すっぽんや山芋

 肌荒れや目の渇き、不眠、ほてりは、腎の陰不足かも。

・山芋など粘りのあるもの
・すっぽんなどコラーゲン豊富な食材

 でうるおい補給をすると改善される。

■補腎のための生活習慣は?

 腎が弱っていると腰に症状が出やすくなる。ウオーキングなど無理のない運動がおすすめ。

 また、腎にいいとされる足裏のツボ“湧泉”を毎晩寝る前などに刺激して元気を補給。

 

 湧泉(ゆうせん)の場所(赤い点の部分)は、足の指を曲げたとき、足裏でへこみが深い部分で、足裏の縦3分の1あたり。ここをじっくり押すといい。

教えてくれた人

薬学博士・陳 志清さん

陳先生

 イスクラ産業代表取締役副社長。中国、日本で医学と薬学を学び、日本中医薬研究会https://chuiyaku.or.jp/の講師としても活躍している。

不調の相談を気軽に…漢方薬局を体験!

 毎晩眠りが浅く、動悸も…。不調に悩む更年期世代の編集Sが漢方薬局を初体験。その様子をレポートする。

***

 初めて漢方薬局を訪れた編集S(57才)に、穏やかな笑顔で応対してくれたのは、薬剤師の橋本有香さん。まずは相談カードに、体調や生活のパターン、食習慣など事細かに記入していく。このカードをもとに相談がスタート。

編集S:眠りが浅く、途中で目が覚めてしまうんです。朝から動悸がして胸がザワザワする日もあります。

橋本さん:寝る前にお酒を飲むことはありますか?

編集S:23時ごろからワインを2、3杯か、もっとかも…。おつまみにお煎餅もちょっとつまんでしまうことも(苦笑)。

 編集Sは日々を振り返りながらさまざまな質問に答えたあと、自分の舌を鏡でチェック。

編集S:舌が白っぽいですね。自分の舌をまじまじと見るのは初めてです。

舌の診断をする

橋本さん:舌の色や大きさ、苔の状態などを見ることで、体の状態がわかります。

 Sさんは舌の苔が白っぽく、ところどころはがれていますね。白っぽい苔は老廃物が体に溜まっている証拠。舌の先が赤いのは、のぼせのサインと考えられます。

「心(しん)」の不調で動悸がするのかもしれませんね。心と腎のバランスが乱れている心腎不交(しんじんふこう)の状態、老廃物がたまりやすい体質ですね。

 また、体は乾燥しているのに、水分代謝が悪く、湿がこもりやすい状態でもありますね。梅雨に不調を感じることはありませんか?

編集S:たしかに毎年6月ごろにお腹を下しやすいんですよ!

橋本さん:体内に湿をため込みやすい体質かもしれませんね。湿を取る目的の漢方薬もあるんですよ。

橋本さん:では次に、舌の裏側も鏡で見てみてください。

編集S:裏側は血管が浮き出て紫色になっているかも…。

橋本さん:舌の裏に紫色の血管が浮き出ているのは、血行が悪くなっている“瘀血(おけつ)”の特徴。

編集S:たしかに、足先はいつも冷えています…。橋本さんのような優しい薬剤師の方に相談していくうちに、自分が抱える体の悩みがわかって、発見がたくさんありました。

 漢方薬は毎日続けるのが大変そうというイメージでしたが、自分に合う漢方薬で、しっかり自分の体を整えたいです。

橋本さん:漢方薬は即効性のあるものから、数週間、数か月飲んで体調の変化を感じるものまでさまざまです。まずは2週間から、気軽に始めてみませんか。

編集S:約1時間、じっくり相談に乗ってもらい、不調の原因と向き合えました。『冠元顆粒』はお湯に溶いて飲むと、指先までじんわり温まるような気がします。これはいいかも。

心と体を元気にする私に合う漢方薬は…?

(左)心と脾のバランスを調え、不眠や健忘にも。『イスクラ 心脾顆粒(しんぴかりゅう)』60包。
(中)虚弱体質による不眠、動悸の改善に。『イスクラ 天王補心丹(てんのうほしんたん)T』720丸。
(右)瘀血の改善や、頭痛や肩こり、めまい、動悸などに。『イスクラ 冠元顆粒(かんげんかりゅう)』90包。
※すべて第2類医薬品

編集Sが漢方薬を2週間試してみたら…

「寝覚めの動悸が気にならなくなってきました。朝晩、温かいお湯に『イスクラ 冠元顆粒』と『イスクラ 心脾顆粒』をミックスして溶いて飲んでいました。足先の冷えも改善してきたみたい。漢方というと苦いイメージでしたが、飲みやすい味だったので、飲むのが楽しみになったほどです」

漢方相談をしたい人のためのリンクボタン

教えてくれた人

管理薬剤師・橋本有香さん

漢方薬剤師橋本さん

中医婦人科の修士号や不妊カウンセラーの資格を持つ。

協力/イスクラ産業
お客様相談室 03・3281・3363(土日・祝日を除く)
https://www.iskra.co.jp/

■イスクラ薬局日本橋店
東京都中央区日本橋2-15-3 ヒューリック江戸橋ビル1階
03・3273・7331(定休日/日曜・祝日)
https://www.ikanpo.jp/nihonbashi/

■漢方相談はパンダマークの日本中医薬研究会の薬局・薬店で。
ホームページでお近くのお店を検索できます。

※新型コロナウイルスの感染対策のため、通常店内にはアクリル板を設置し、マスクを着用して対応しています。

撮影/横田紋子(本誌)イラスト/きくちりえ(Softdesign LLP)取材・文/西谷友里加

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