《リアルエピソードで丸わかり》「自分の代で墓じまいしなくても子供に迷惑をかけない方法は?」お墓の専門家が解説
厚労省がまとめた2025年の人口動態統計によれば、1人の女性が生涯で産む子供の数は1.14と過去最低を更新した。進む少子化は、墓事情にも影響を与えている。墓じまいはどのタイミングで誰が行うのか──読者からの質問をもとに、専門家が解決策を提案。似た状況の人は参考にしてほしい。
Q.自分の代で墓じまいしなくても、子供に迷惑をかけない方法は?
夫(48才)と大学生の娘、高校生の息子の4人で都内に暮らすHさん(46才)。大分県にある夫の実家には立派な墓があり、毎年夏の墓参りでは、家族でけんかになるという。
「長男である夫は、先祖代々の立派なお墓を継ぐのが誇らしかったようですが、私たち家族はうんざり…。なにせ、夏休みには毎年、家族4人で大分の実家に行き、墓参りをしないといけないからです。しかも、墓が建つ寺は山の上。車で行けるのは途中までなので、猛暑の中、汗を拭きながら墓を目指します。
息子が小さい頃は昆虫採集をしながら向かうなど、楽しい時期もありましたが、最近では息子も娘も行きたがらず、『絶対に家族揃って墓参りしないといけない』と言い張る古風な夫と子供たちは、夏休み前に必ずけんかをしています。子供たちはすでに『管理が大変すぎるから、将来は絶対に継がない』と宣言するほど嫌がっています。正直、私だって墓参りは面倒…。
この夏は夫婦2人で墓参りをしたので、これはいい機会だと思い、墓じまいについて夫と話し合うことにしました。
夫のきょうだいは妹だけで、いまは嫁いでいます。連絡したところ、『私たちには子供がいないのでお墓はいらないし、墓じまいするにしても、もう実家は出たんだから費用は出せない』と言われました。夫は、先祖代々の墓を自分の代で終わらせることに抵抗があるようで、息子を説得すると言っていますが―子供に迷惑をかけない方法はないでしょうか」
【専門家がアドバイス】撤去費用を親が遺しておくのがおすすめ
「お墓を残したい気持ちがあり、それを継ぐ可能性がある子供がいるならば、墓じまいを決める前に本当にそれがベストな選択なのかをお子さんと話し合うことが大切です。というのも、改葬先を探した結果、いまの方が条件がいいケースがあるからです。迷ったら専門家に相談を。残すことになっても、息子さんの世代で墓じまいをする場合に備えて、墓の撤去費用を相続財産として遺しておいてはいかがでしょうか」(NPO法人終活サポートセンター理事長・水上由輝徳さん)
Q.母、夫、義妹で墓じまいの意見が割れた場合、どうしたらいい?
都内在住のYさん(51才)は、夫の実家の墓問題に頭を悩まされている。
「義母(78才)は現在、新潟県にある夫の実家で、義妹(50才)家族と暮らしています。とても元気なのですが、義母と年の近い親族が立て続けに亡くなったことで夫(53才)は、『墓のことをきちんとしておかないといけない』という気になったようです。
これまで仕事ばかりで夫が実家の墓参りに行くことはほとんどなく、墓の管理は、名義人である義母に任せっきりでした。
一方で私たち夫婦の墓は、都内の納骨堂にしようと話し合っていました。そうすれば娘(25才)にも迷惑をかけずに済みます。
墓のこれからについて義母たちと話し合おうと、このお盆に実家を訪ねると、義母は『自分はお父さん(義父)の墓に入るから、あとはあんたたちで決めて』と丸投げ。義妹からは『お墓がなくなるなんて寂しい。お兄ちゃんは長男で、次の名義人なんだから守って』と言われました。
そう言われても、うちの娘や義妹の娘が墓を継ぐ可能性は低いので、いずれ墓じまいをしなければなりません。親族で意見が割れた場合はどうしたらよいのでしょう」
【専門家がアドバイス】名義人だけで墓じまいは負担大。協力を!
「墓の名義人になれるのは長男に限りません。血縁がなくても名義人になれます。ですから、義妹や娘さんたちも交えて話し合いましょう。娘さんたちに墓を継ぐ気がないなら、義妹か夫が墓じまいをするしかありません。
遺骨をほかの墓に移す場合、1体10万円ほどかかる場合もあるので、墓の名義人だけでは支払えないことも。きょうだいの協力は不可欠。それを踏まえて冷静に話し合いを」(司法書士・太田垣章子さん)
◆教えてくれた人:NPO法人終活サポートセンター理事長・水上由輝徳さん
改葬、墓じまい、死後事務委任契約を中心に、終活に関するさまざまな悩みに対応。これまでに5万件以上の相談実績を誇る。終活を学ぶための講義形式の相談会「終活大学」なども開催。
◆教えてくれた人:司法書士・太田垣章子さん
「合同会社あなたの隣り」代表。人生100年時代における家族に頼らないおひとりさまの終活を支援する「高齢者と住まい」の専門家。講演活動にも積極的。著書に『「最後は誰もがおひとりさま」のリスク33』(ポプラ社)など。
取材・文/上村久留美
※女性セブン2026年10月15日号
