部分入れ歯・ブリッジ・インプラント「しっかり噛めるのはどれ?」長所と短所、費用の目安を医師が解説
【1】部分入れ歯(保険適用内)
<特徴>
残っている歯にバネを引っ掛けて安定させる。使われる材料はアクリルレジン。費用は安いが、バネの部分に違和感が出やすい。
<適用>
1本~多数の歯が抜けた場合。1装置3000~1万5000円程度。
<長所>
●費用が安い
●ほかの歯を削る量が少ない
●調整しやすい
●変化に対応できる
●手術が不要
●仮の入れ歯として利用できる
<短所>
●つけたときに違和感や異物感を覚えやすい
●触感や熱の感覚が鈍い
●壊れやすい
●笑ったときなど金具が目立つ
●発音しにくい
【2】ブリッジ(保険適用内)
<特徴>
抜けた歯の両側の歯を削り、人工歯を橋のようにかけて安定させる。
<適用>
1本以上の歯が抜けた場合、1装置約2万円~
<長所>
●よく噛める
●違和感が少ない
●固定式で取り外す必要がない
<短所>
●健康な歯を削るリスクがある
●削った歯が弱くなり、歯の寿命が縮みやすい
【3】金属床の部分入れ歯(保険適用外)
<特徴>
部分入れ歯の一部を強度の高い金属にすることで、薄く、壊れにくくなる。また、違和感が抑えられるので、食事の温かさや冷たさを感じやすくなる。
<適用>
1本~多数の歯が抜けた場合。1装置15万円~
<長所>
●丈夫で壊れにくい
●薄くできて違和感が少ない
●設計の自由度が高い
●口に合わせやすい
●食事の温冷がわかりやすい
●発音しやすい
<短所>
●治療費が高い
●修理しにくい
●金属色が見える場合がある
【4】ノンメタル部分入れ歯(適用外)
<特徴>
ノンメタル(ノンメタルクラスプデンチャーの略)は、歯の留め具であるバネに、金属ではなく目立たない樹脂を使用した入れ歯のこと。
<適用>
1本~多数の歯が抜けた場合。1装置18万円~
<長所>
●留め具であるバネが目立ちにくいので、見た目が自然
●装着時のフィット感がよい
●違和感が少ない
<短所>
●材質の寿命があり、耐久性が低い
●修理しにくい
●抜けた歯の本数によっては作りにくい場合がある
【5】ソケット部分入れ歯(適用外)
<特徴>
残っている歯に歯茎と同じ色の留め具であるバネを掛けて安定させる。歯茎にあたる部分がやわらかいシリコーン素材になっている。
<適用>
1~2本の歯が抜けた場合。1装置10万~50万円。
<長所>
●留め具であるバネが目立たない
●シリコーンクッション効果でよく噛める
●装着時のフィット感がいい
●違和感が少ない
●歯を削る量が少ない
<短所>
●材質の寿命があり、耐久性が低い
●修理ができない場合がある
●3本以上の歯が抜けた場合は別の入れ歯になる
【6】セラミックブリッジ(適用外)
<特徴>
抜けた歯の両側を大きく削り、人工の歯を橋のようにかけて安定させる。天然の歯に近い透明感がある。
<適用>
1本~少数の歯が抜けた場合。1装置20万円。
<長所>
●見た目が天然の歯と変わらない
●違和感が少ない
●よく噛める
<短所>
●歯を大きく削る
●削った歯が弱くなり歯の寿命が縮むことがある
●材料によって価格が異なる
【7】総入れ歯(適用内・外)
<特徴>
上下のどちらか、もしくは上下ともに歯をなくした人が使用する入れ歯。人工の歯茎の部分と人工の歯から構成される。保険適用外では金属を自由に使用できるため、薄く、壊れにくくできる。
<適用>
上下のいずれか、または上下ともに歯がすべて抜けた場合。保険適用内は1装置1万~1万5000円程度、保険適用外は数十万円。
<長所>
●取り外しがしやすい
●保険適用外の場合、薄くできるため発音しやすい。また食事の温冷がわかりやすい
<短所>
●外れやすい
●合わない場合、痛みが生じやすい
●保険適用内の場合、違和感が出やすく、発音しにくい
取材・文/廉屋友美乃 画像提供/バイテック・グローバル・ジャパン
※女性セブン2024年1月1日号
https://josei7.com/
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