「シナプソロジー」高齢者の心身機能に良好な影響か!?
株式会社ルネサンスはこのほど、同社が開発した脳活性化メソッド「シナプソロジー(R)」が、高齢者の認知機能や心身の機能に与える影響に関する研究を、筑波大学と行い、その結果を発表した。これを実践することで、高齢者の移動能力や注意力、酸化ストレスの低下に良好な影響をもたらすことが考えられたという。
シナプソロジーを行ったグループの成績が向上した
「シナプソロジー」とは、「2つのことを同時に行う」「左右で違う動きをする」といった普段慣れない動きで脳に適度な刺激を与え、活性化を図る、認知機能の向上を目的としたメソッド。
例えば数字に対応する動作を決めておき、指示者が「1」と言ったら数字を声に出しながら1のポーズをとるといったことを行う。
「できること(習得)」を目的とせず、適度にできないことに対応する状態を作り出すことが脳機能の向上に役立つという。このメソッドは昭和大学の藤本司名誉教授(脳神経外科)のアドバイスに基づき、ルネサンスが独自に開発した。
今回の研究目的は、シナプソロジーが高齢者の身体、心理、認知機能、さらに酸化ストレスの抑制に与える影響を検討するために行われた。
対象者は、65~79歳の22名の健常な高齢者(平均年齢72.2±4.6歳、男性14名、女性8名)。週2回、1回60分のシナプソロジーを、8週間実践してもらった。そして、歩行能力および動的バランス能力、5メートルの通常歩行能力、巧緻性(手先の器用さなど)および注意力、酸化ストレスについて評価を行った。結果の一例は以下のグラフの通り。上は移動能力に関する評価。下は注意力と手先の器用さに関する評価。いずれも、シナプソロジーを行ったグループと、行わなかったグループを比較した。
手先の器用さ、注意力、酸化ストレス低下に好影響
結果として、歩行能力および動的バランス能力、巧緻性(こうちせい:手先の器用さなど)および注意力、酸化ストレスの評価で、有意差が認められた。
同研究グループはこの試験の結果から、シナプソロジーを実践することで、移動能力や手先の器用さ、注意力、また酸化ストレスの低下に良好な影響をもたらすと分析している。
シナプソロジーは、広い場所でなくても行うことが可能で、短時間でできることも特長の一つ。参加者の年齢、性別、体力レベルなどに応じて調整が可能なため、対象者の幅が広いことも利点だ。現在、介護予防事業、地域の健康づくり、子どもの教育から、アスリートのパフォーマンス向上まで、様々な分野で活用されており、今後さらに普及を進めていく予定だ。
【データ】