《飲み込む力を鍛える》「舌の衰え」を改善して動きをよくする「歯ヨガ」を歯科医が解説
舌の主な役割は、口の中の食べ物をまとめてのどへ送り込むこと。しかし、加齢とともに舌の動きが衰えると、のどの飲み込む力にも影響し、誤嚥性肺炎を引き起こして死に至る可能性も。普段舌の大部分が上あごについていないなら、舌の力が衰えている証拠。舌と口の周りの筋肉を改善する方法を歯科医の小島理恵さんが紹介してくれた。
口まわりの筋肉と舌を動かして「低位舌」を改善!
自分の舌が普段どこに位置しているのか、ご存じだろうか。
「口を閉じたとき、舌の真ん中くらいから後ろは上あごにぴったりつき、舌先は下の歯あたりまで伸びているのが本来の状態です」
とは、歯科医の小島理恵さん(「」内、以下同)。舌を動かす機会が減ったり、舌や口の周りの筋力が衰えたりすると、舌は上あごにつかず、低い位置に落ち込む「低位舌」になる。舌が正しい位置にないのは、舌の力が衰えている証拠なのだ。
舌だけでなくほおや唇も一緒に動かす
さらに小島さんが注目するのが、舌、ほお、唇などにある「口腔周囲筋」。これらは別々に働いているのではなく、連携しながら、かむ、飲み込む、呼吸する、話すといった動作を行う。
「現代人は、口の周りの筋肉を正しく使えていません。食の欧米化に加え、人と話す機会が減っていることなどが原因です。また、スマホやパソコンを使用する際の下向き姿勢や、過緊張からくるかみ締めといった、現代的な習慣も一因になっています」
舌を支える力が弱くなると、口が無意識にポカンと開きやすくなり、口呼吸につながる。すると口の中が乾燥しやすくなり、唾液による自浄作用が低下。虫歯や歯周病、口臭などのトラブルを招く原因にもなるという。
「舌やほお、唇など、口の周りの筋肉をほぐしたり、正しく動かしたりして、本来の動きやバランスを取り戻すことが大切です」
そのために小島さんが提唱するのは、オリジナルの「歯ヨガ」だ。このエクササイズでは、舌や口をしっかり動かすのがポイントで、うまくできない場合は、普段からその筋肉を使えていない証拠。口の周りの筋肉をバランスよく動かせるようになれば、舌も正しい位置に自然とおさまり、舌の動きがよくなれば、スムーズに飲み込めるようになる。
ポカン口を改善する「うーえーワーク」
【1】「うー」と声を出しながら、3秒ほど唇を思い切り前に突き出す
「これでかたまっていた表情筋が動き出します。唇をしっかり突き出すよう意識して行いましょう」
【2】「えー」と声を出しながら、3秒ほど舌を思い切り前に突き出す
舌が下の歯や唇につかないようにする。1、2を1セットとして10セット繰り返す。これにより、舌と表情筋が動かせるようになる。
舌を自然に上げて鼻呼吸に導く「舌ワイパーごっくん舌キープ」
後ろで手を組む。口を閉じたまま、上の歯と歯茎の間に舌を入れ、左奥歯から右奥歯まで、ワイパーのように舌を動かす。
往復6秒×10回行ったら、唾液を飲む。舌が本来の位置にくるので、その状態で60秒間キープ。
口の周りの筋肉と舌も動かせる「エアーブクブク」
口に水を含んでブクブクするイメージで、口の上、下、左、右それぞれに空気を入れてほおを動かす。1か所5秒ずつ計4か所を1セットとして、3〜5セットを目安に行う。
◆教えてくれた人:歯科医・小島理恵さん
小島歯科医院副院長。歯ヨガ協会代表理事。自ら考案した「歯ヨガ」をテレビやYouTubeなどで紹介。著書に『歯科医が教える 歯ヨガ 歯と口から免疫力を上げる』(KADOKAWA)。
取材・文/土田由佳
※女性セブン2026年10月29・11月5日号
