猫が母になつきません 第441話「かいしする」
アリがすごいんです。引っ越した当初からアリが家の中に入ってくることに悩まされていました。古い平屋なのでアリが入れる隙間はいくらでもあると思われ、家のあちこちに前の住人が貼ったガムテープが。闘いのあとが生々しい。私も台所のステンレスの隙間には全部テープを貼ったし、砂糖は容器にもぐりこまれるとやっかいなので冷凍庫で保管。引っ越してすぐのころはしばらく水が使われていなかったせいで外から水道管をつたって入ってくるアリが洗面所にたくさんいて毎朝駆除しなくてはなりませんでした。
今は家の周りに駆除餌を置くことで室内ででアリを見ることはほとんどなくなりました。今年はまだ置いていなかったのでアリたちの侵入を許してしまいました。活動開始前に新しい餌を置くべきでした。
友人が遊びにきたときに駆除餌を見て「これ何?」というので「アリの駆除餌。餌を働きアリが巣まで持って帰って、巣ごと全滅するの。」と言うと「えー、残酷じゃない?」と。その友人のお父様は亡くなったあと夢に出てきて「俺、虫になっちゃったよ」と言ったそうで、それ以来、虫を殺せなくなってしまったのだとか。蚊ですら。なかなかやっかいです。
母も何かに生まれ変わっているのだろうか。アリではないな、働くの嫌いだし。でもアリも全員が働き者というわけではないらしい。アリのコロニー全体を100とした場合、20が働き者のアリで、60が一般的なアリで、残りの20があまり働かないアリ。『2:6:2の法則』と呼ばれています。働き者のアリを私が掃除機で吸ってしまっても、残りのアリが働き者になるので2:6:2の割合はずっと変わりません。もし母がアリになったらあまり働かないグループにずっと留まっていそう。「お先にどうぞー」とか言って。大家族で暮らすアリの生活は寂しがりやな母には合っているかもしれませんけど。ちなみに私はまちがいなく一番に掃除機に吸われてしまうタイプです(泣)。
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母と暮らすため地元に帰る。ゴミ屋敷を片付け、野良の母猫に託された猫二匹(わび♀、さび♀)も一緒に暮らしていたが、帰って12年目に母が亡くなる。猫も今はさびだけ。実家を売却後60年近く前に建てられた海が見える平屋に引越し、草ボーボーの庭を楽園に変えようと奮闘中(←賃貸なので制限あり)。
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