生ごみ処理の手間がラクになる!画期的な「家庭用生ごみ減量乾燥機」開発秘話
家庭から出る可燃ごみのうち約4割を占めるとされる”生ごみ”。処理費やCO2の増加、カラスによる散乱被害など深刻な問題が発生している。そんな中、登場したのが、環境に優しく使いやすいと評判の「家庭用生ゴミ減量乾燥機」だ。生ゴミの処理が断然ラクになると話題の商品の開発秘話を取材した。
においの発生や運転音の問題を解消
リサイクル施設や粗大ごみ処理施設などの環境プラントの設計・施工を手がける「島産業」は、長年ごみと向き合い、環境に及ぼす影響を調査してきた。その観点から、ごみ排出の抑制と生活の質の向上を目指して開発されたのが、家庭用生ごみ減量乾燥機『パリパリキューブ』シリーズだ。
同社の調査では、家庭から出る可燃ごみのうち約4割が生ごみで、その9割近くが自治体によって焼却されている。が、その現場では、回収・処理にかかる莫大な費用や作業の負担増、CO2増加、カラス等による散乱被害など深刻な問題が発生している。そのため「生ごみ処理機購入助成金制度」(※)を設けている自治体も多い。
そこで同社は2007年、家庭用生ごみ減量乾燥機の研究開発に着手した。商品開発グループの藤田晃男さんはこう語る。
「従来の生ごみ処理機は微生物の働きで分解を促進させるバイオ式や、100℃以上の熱風で乾燥し攪拌させるものが主流でした。しかし、嫌なにおいが発生したり、運転音が大きいなど問題点も多かった。そこで、それらを解消する商品開発に取り組みました」
2013年より販売している『パリパリキューブ』は、熱風ではなく60~80℃という低温の風で生ごみの水分をじっくりと除去し、パリパリになるまで乾燥させる。生ごみのおよそ80%が水分で、同社の調査では、水分と雑菌を多く含む生ごみを1日放置するだけで雑菌が約1万倍に増殖。腐敗・悪臭の原因となるという。
「乾燥させることによって悪臭・汁だれ・コバエの発生などが防げ、重量も約5分の1まで減らせるので、ごみ出しの回数を減らせます」(藤田さん・以下同)
手間を軽減する工夫もなされている。三角コーナーの代わりに、付属のバスケットに水切りネットを張ってシンクに設置。野菜くずや魚の骨などの生ごみがたまったら、バスケットごと本体にセットすればOK。このとき爪楊枝やラップ、弁当に使うバランなどが混入していても構わない。
「従来品は異物をあらかじめ取り除く必要があり、手間がかかり面倒だという声がありました。この商品は温風乾燥、かつ攪拌しないため異物の存在を気にする必要がありません。その点も使いやすいと好評です。また、強力な脱臭フィルターを内蔵しており、においも気になりません」
ごみ減量、CO2排出量の削減に貢献
乾燥後は水切りネットごと捨てれば処理は完了だ。
「乾燥させれば日々の管理やごみ出しの手間が軽減します。ごみ減量の貢献になり、CO2排出量の削減にもつながります」
パリパリになった生ごみから異物を取り除き、細かく砕けば有機質肥料としても利用可能。とことんエコな商品だ。
※本製品は「生ごみ処理機購入助成金制度」の対象となる(たとえば東京都千代田区は要件を満たせば、購入価格に対する助成率は3分の2、上限3万円の助成金が出る)。なお、制度実施の有無はHPなどでご確認ください。
【データ】
家庭用生ごみ減量乾燥機『パリパリキューブ ライトアルファ』/3万360円。直径215×高さ283㎜。カラーはピンクゴールド、グレイッシュシルバーなど4色。
取材・文/藤岡加奈子
女性セブン2022年5月12・19日号
https://josei7.com/
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