《お墓の悩み》「おひとりさまだけど海洋散骨希望」「絶縁状態の兄が墓守をできるか不安」などリアルエピソードに専門家がアドバイス
厚労省がまとめた2025年の人口動態統計によれば、1人の女性が生涯で産む子供の数は1.14と過去最低を更新した。進む少子化は、墓事情にも影響を与えている。墓じまいはどのタイミングで誰が行うのか──読者からの質問をもとに、専門家が解決策を提案。似た状況の人は参考にしてほしい。
Q.おひとりさまの私が海洋散骨を叶えるためにすべきことは?
都内に住むKさん(54才)は独身で、きょうだいも子供もいない。両親は離婚しており、父親との交流はないため、現在は80代の母と2人暮らしだ。
「私は大学卒業後、社会人になったのを機にひとり暮らしを始めました。しかしいまは、高齢の母が心配なので一緒に住んでいます。
先日、母から『私は弟(私の叔父)が管理する実家のお墓に入れてもらうようにお願いしたから心配しないで。そんなわけだから、あなたのお墓がないの。だからどうしたいか自分で決めてね』と言われました。
私はこの先も独身だと思うので墓はいりません。お骨を海にまいてもらおう(海洋散骨)と決めています。そのためには生前、どのような手続きをしたらよいでしょうか」
【専門家がアドバイス】代理人を決めて死後事務委任契約を結ぶ
「2022年、女優の故・島田陽子さんが、生前に自分が入るための新しいお墓を用意していたにもかかわらず、手続きの不備でそこには入れなかった、ということがありました。
これは本人の死後、納骨処理を行う代理人を生前に決めていなかったからです。おひとりさまのKさんの場合、まずすべきことは代理人を立て、葬儀や埋葬に関する自身の要望を伝えて『死後事務委任契約』を結ぶことです」(司法書士・太田垣章子さん・以下同)
自分で海洋散骨の専門業者に依頼するだけでは不充分なので要注意。
Q.墓を継いだ絶縁状態の兄がきちんと管理するか不安
長野県在住のTさん(58才・既婚)には、2才年上の兄と1才年下の妹がおり、父が眠る先祖代々の墓は兄が管理している。
「私の実家は150年以上続く旧家で、お墓のある寺とのつきあいもそれなりの長さになります。
5年ほど前に父が他界すると、独身の兄は母の面倒を見るという条件で、実家を売り、そのお金を全額もらいたいと言い出しました。兄の事業が行き詰まっていたので、その資金に充てたかったのでしょう。
兄を溺愛していた母は兄に全面的に協力。『私の世話をしてくれる息子に全額渡すのが筋』と言って、私と妹に財産放棄を強要しました。
それから私たち姉妹は兄と母に内容証明で絶縁状を送り、以来兄にも母にも会っていません。ただ、先祖代々の墓も兄が管理することになり、そこには大好きだった父が眠っているので、兄がちゃんと管理しているか心配です。もしまた事業に失敗してお墓を放置することになったら…。お墓を守るために私たちにできることがあったら教えてください」
【専門家がアドバイス】お寺に事情を話し情報の共有を
墓を継いで名義人になっているのが兄ならば、それ以外の人は見守るしかないのが通例だが…。
「Tさんの場合、お寺のご住職と長いつきあいがあるようなので、事情を話しておくのもひとつの手。もしものとき、Tさんがサポートしていいなら、管理費の支払いが遅れたり、未納になったりした時点で連絡をもらうようにお願いしておいてもいいかもしれません」
◆教えてくれた人:司法書士・太田垣章子さん
「合同会社あなたの隣り」代表。人生100年時代における家族に頼らないおひとりさまの終活を支援する「高齢者と住まい」の専門家。講演活動にも積極的。著書に『「最後は誰もがおひとりさま」のリスク33』(ポプラ社)など。
取材・文/上村久留美
※女性セブン2026年10月15日号
