《老後リスクを下げるコツは骨にある》いつまでも「歩ける」「強い」骨をつくる!医師と専門家が選んだ食品・習慣ランキング
ほんの数cmの段差を踏み外しただけ―そんな些細なきっかけが寝たきりへの入り口になってしまうケースもある。気づかぬうちにもろくなっている骨を強く若返らせ、いつまでも歩けるためのルーティンを知ろう。
年を重ねても自分の足で歩き続けたいと思うのは、誰しも共通だろう。しかし、50代を過ぎると骨密度は急激に低下。女性の場合は男性に比べて、ホルモンバランスの影響で骨が弱くなりやすい傾向にある。
日本骨粗鬆症学会認定医で、そしがや大蔵クリニック院長の中山久徳さんが解説する。
「閉経前後3〜5年の間に、女性ホルモンのエストロゲンが減少することで、骨を壊す働きが強まり、骨密度が低下していきます。更年期症状の有無にかかわらず、加齢で骨が弱くなってしまうため、注意が必要です」
骨がもろくなると、転倒による骨折の可能性が高くなる。高齢者の骨折は要介護状態に陥るリスクもあり、注意が必要だ。光伸メディカルクリニック院長の中村光伸さんが話す。
「厚労省の調査(2025年)によると、要支援や要介護の状態になった主な原因として『骨折・転倒』が14・6%を占めており、決して少ない割合ではありません。転倒や骨折を予防することは、健康寿命を延ばすうえで重要です」
弱った骨への危険は日常生活にも潜んでいる。
「通常なら骨折しない程度の軽い外力で起きる『脆弱性骨折』が高齢者の骨折の4分の3を占めるといわれます。階段を踏み外したり、自転車で転んだりといった、若い頃ならちょっとした打ち身で済んだことでも、年を重ねれば骨を折るという大けがに。さらに度重なる背骨の骨折で心肺機能や筋力が弱くなり、足の付け根の大腿骨近位部骨折では結果的に寝たきりにつながるケースは少なくありません」(中山さん)
3種類の栄養素で骨を強くする納豆
いつまでも歩ける強くしなやかな骨をつくるためには、まずカルシウムと思いがちだが、必要なのはそれだけではない。
「骨を鉄筋コンクリートの建物になぞらえると、コンクリートがカルシウムで、鉄筋に相当するのがたんぱく質。鉄筋がないところにコンクリートを流し込んでも強い建物はできません。たんぱく質をしっかり摂取し、そのうえでカルシウムと、それを骨へ取り込む助けとなるビタミンKを摂りましょう。カルシウムの吸収を高め、骨や筋肉のほか、免疫力の向上や認知症予防など体のさまざまな場所で作用するビタミンDも重要です」(中山さん)
ここからは10人の専門家が投票で選んだ「最強の食品」を見ていこう。
堂々の1位に輝いた「納豆」は、骨を支える栄養素が豊富なうえ、女性にとって不可欠な栄養素を含む点が高い支持を集めた。医療法人社団康梓会グループSAWAKO CLINIC×YS統括院長の日比野佐和子さんはこう評価する。
「納豆は植物性たんぱく質に加え、骨形成に作用するビタミンKを豊富に含みます。また、大豆に含まれるイソフラボンは体内で女性ホルモンと似た働きをすることがわかっており、閉経後の女性の骨の健康との関連が研究されています。日常的に取り入れやすい点もメリットです」
2位の「ヨーグルト」を推すのは管理栄養士の望月理恵子さんだ。
「骨の主成分であるカルシウムは食品からの吸収率が低く、ほうれん草で約5%、小魚で約33%しか吸収されません。ところがヨーグルトなら約40%あり、食品の中ではカルシウムの吸収率が高いうえ、たんぱく質も豊富です」
動物性たんぱく質としては魚が上位にランクイン。3位の「鮭」と4位の「青魚」には、骨にとって大切な栄養素が豊富に含まれていると、かおるこHappyクリニック院長の伊藤薫子さんが言う。
「鮭やさば、いわし、さんまには、骨の土台となる良質なたんぱく質に加えて、カルシウムの吸収を助けるビタミンDや、血液のめぐりをよくして脳の健康をサポートするDHA、EPAが豊富に含まれています。骨まで食べられる水煮缶なら、カルシウム、ビタミンD、たんぱく質をあますことなく摂取できます。長期保存ができて調理も簡単なので、忙しい人の“骨活”にも取り入れやすいです」
ビタミンを摂るうえでは野菜も欠かせない。7位の「緑黄色野菜」のなかで、医学博士の佐野こころさんは特に小松菜がおすすめと話す。
「小松菜は骨の主成分となるカルシウムを比較的多く含む緑黄色野菜です。また骨の形成にかかわるビタミンKが豊富です。そのほか、鉄分や抗酸化作用のあるβ-カロテンなどが多く含まれ、積極的に食事に取り入れたい野菜のひとつです」
食べる量が減りやすい世代ほど、毎日の食事に無理なく組み込めるかどうかも大切なポイントになる。毎食に補完的に取り入れやすい「焼きのり」(15位)や「ごま」(16位)は強い味方だ。
「焼きのりには骨形成にかかわり、骨の材料となるカルシウム、骨形成に不可欠なビタミンKなどが広く含まれます」(管理栄養士の清水加奈子さん)
前出の望月さんが続ける。
「ごまにはカルシウムや鉄分、亜鉛、マグネシウムなどのミネラルや、強力な抗酸化作用があり、『若返りのビタミン』とも呼ばれるビタミンEが豊富に含まれています。皮が硬いため、吸収がよくなるよう“すりごま”にして和え物に使うのがおすすめです」
日本人にとって馴染みの深い「緑茶」(18位)も、日常的に飲むことで骨を強くするのに役立つという。
「緑茶葉にはビタミンKが豊富で、カテキンの一種である『エピガロカテキンガレート』は骨代謝に関係し、骨粗しょう症の予防効果が期待できます」(清水さん)
毎日の食卓ではカルシウムだけに限らず、たんぱく質やビタミンD、Kなどを組み合わせることが「強い骨」への近道になる。
「1つの『最強の食品』を大量に食べるより、複数の栄養素が摂れる組み合わせを考えましょう。
例えば、『焼き鮭+小松菜のおひたし+納豆+豆腐のみそ汁』のような和定食なら、魚からビタミンDと動物性たんぱく質、小松菜からカルシウムやビタミンK、納豆からビタミンKと植物性たんぱく質、豆腐から植物性たんぱく質など、骨と筋肉の健康を支える栄養素を1食のなかで摂ることができます」(日比野さん)
30分のウォーキングで骨密度アップ
日々の食事と同じく大切なのは、体を動かす習慣だ。1位に挙がったのは「スクワットなどの筋トレ」。ナビタスクリニック川崎院長の谷本哲也さんがメリットについて解説する。
「骨をつくる細胞を刺激して骨を強くするだけでなく、『転ばない足』をつくるための筋力アップにも効果的です。椅子の立ち座りなど、太ももやお尻の筋肉を鍛える運動を週2~3回程度、取り入れることをおすすめします」
運動が苦手な人は、歩くことから始めてもいい。伊藤さんは「ウオーキング」(3位)を自身の1位に挙げた。
「歩くことにより骨に適度な荷重や刺激が加わり、骨を丈夫に保てます。1日20〜30分を目安に無理のない範囲で毎日こまめに歩く習慣をつけましょう」
歩きながら同時にできるのが、2位の「日光浴」だ。
「日光を浴びるとカルシウムの吸収に欠かせないビタミンDが皮膚でつくられます。散歩や通勤、洗濯物を干す時間などを利用し、1日15〜30分ほどは日に当たりましょう」(伊藤さん)
筋力や骨の強度を上げるほかに、バランス感覚や柔軟性を高めることも重要だ。秋葉原駅クリニックの佐々木欧さんは、7位の「バランス運動」の有用性を説く。
「骨が丈夫になっても、転倒すれば骨折リスクは避けられません。転倒を防ぐには姿勢を保つ『バランス能力』も重要。安全な場所で椅子や壁につかまりながら行う片足立ちなどの、筋力・バランス・柔軟性を組み合わせた多要素運動は転倒予防に有効です」
骨を強くするための適度な刺激も必要だ。中山さんは、5位の「かかと落とし」をすすめる。
「まず、頭のてっぺんから糸で吊られているイメージで背筋を伸ばしてつま先立ちをして、そこからストンと一気にかかとを地面に落とします。この刺激により、骨形成の促進が期待できる。1セット10回を1日3セット程度、無理のない範囲で行いましょう」
食べて骨をつくり、動いて筋肉とバランス能力を保つ。この積み重ねこそが、あなたの骨を頑丈にし、健康長寿への一歩につながる。
以下、10人の医師と専門家に「骨を強くする食品」と「骨を強くする習慣」を最大10個挙げてもらい、1位を10点、2位を9点、3位を8点、4位を7点、5位を6点、6位を5点、7位を4点、8位を3点、9位を2点、10位を1点として集計。10点以上の項目をランキング化した。
伊藤薫子さん(かおるこHappyクリニック院長)、佐々木欧さん(秋葉原駅クリニック医師)、佐野こころさん(医学博士、保健師、看護師)、清水加奈子さん(管理栄養士)、谷本哲也さん(ナビタスクリニック川崎院長)、中村光伸さん(光伸メディカルクリニック院長)、中山久徳さん(日本骨粗鬆症学会認定医、そしがや大蔵クリニック院長)、日比野佐和子さん(SAWAKO CLINIC×YS統括院長)、福田千晶さん(医学博士、健康科学アドバイザー)、望月理恵子さん(健康検定協会理事長、管理栄養士)
※女性セブン2026年10月22日号
